就活は運ゲーじゃないよ。面接に落ちるのも、受かるのも、全部ちゃんと理由がある。

就職・転職

大学4年生の秋。
同じ大学の友人たちはみんな内定を手にした。

飲み会では、各々の就活の話に花が咲いた。

私はエンジニアになることが決まった。ある者は銀行員、ある者は不動産の営業と、各々違う道へ向かう。
でも、就活はみんな一筋縄ではいかなかったようで、様々な面接のエピソードで盛り上がった。

その中で、ひとつだけ個人的に腑に落ちなかった発言が、

「結局、就活は運ゲーだったな。色々考えることに意味はない」

という友人のセリフ。

個人的に、言っていることはわかるが、これは完全に正しいとは思わない。
今回はそんな話をしようと思う。

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「就活=運ゲー」と言われる理由

それは、結論から言えば、新卒の就活だと、面接に通った理由、面接に落ちた理由を教えてもらえないから。

会社が就活生を選ぶように、就活生も会社を選ぶ。
志望度が高い会社であれば、気合いを入れて業界研究・企業研究をし、入念に作り上げた志望動機を携えて面接に向かうだろう。
でも、滑り止め感覚で受ける会社なら、ほとんど準備をしないことも少なくない。

たくさんの時間と気持ちを費やして受けた会社ではあっさり不合格になってしまい、
全然準備せずに受けた会社ではあっさり面接に通ったり、内定をもらってしまったり。

そんなことが当たり前のように、日常茶飯事のように起きたりするのが就活である。

どれだけ一生懸命やっても、やらなくても、落ちるときは落ちるし、受かるときは受かる。
しかも、その理由はわからない。

だからこそ、就活生側の視点では、就活は運ゲーに見えてしまう。

採用側は「運ゲー」なんて軽い気持ちで採用していない

社会人になってから、私は就活生とは逆の立場、つまり採用をする人事側の仕事を少しした。
人事部に配属になったわけではないが、現場のエンジニアとして、面接を担当した。

そこでわかったのは、やっぱり企業ではちゃんと考えて採用を進めている。
例を挙げると、下記のような感じである。

・3年後には市場を拡大する構想があるから、そこで一気にシェアを取りに行けるよう、営業職の頭数を揃えておく必要がある。だから営業に強い人材を新卒から30人ほど育てておきたい。
・5年以内にアジア圏に支社を作りたいから、アジアに常駐して実績を残せる人材が必要である。新卒からは、英語力のポテンシャルがある人材と異文化理解に長けるを人材を5人ぐらいずつ採用しておきたい。

就活生も、そういった情報をきちんと仕入れて、志望動機に盛り込んだりしているにもかかわらず、あっさり落ちてしまうのだから、運ゲーだと思ってしまうのだろう。
そのようになってしまう理由について、私の経験で思うのは下記のようなものがある。

努力でなんとかできない部分に比重を置いている

新卒採用の場合は、「ポテンシャル」と「人間性」が重要視されることが多い。
即戦力となる経験や実績が大事な中途採用ですら、人間性の比重を大きく見られることは多いので、それらがない新卒では尚更だ。

すなわち、これは「これまでの学生経験から、将来的に何が期待できるか」「自社の風土に合う性格であるか、自社の人間と人間性が合うか」と言い換えられる。

これらは、優劣を見ているのではなく、あくまで、自社の文化や風土と合うかをみているのだ。

たとえば、度胸や元気が売りの体育会系の人は、営業職の色が強い会社の文化には馴染めるが、落ち着いた風土のIT企業には合わないかもしれない。
逆に、技術やアルゴリズムが好きだが寡黙な知能労働タイプの人は、落ち着いた風土の会社には馴染めるが、体育会系のコミュニケーションを求める会社では全く馴染めない可能性がある。

採用した人はなるべく辞めないでほしいのが企業の本音ではあるので、特に新卒では人間性の相性といった部分を重視されることは少なくない。
単なる実力の優劣以外の部分をしっかり吟味していれば、志望動機や企業研究をどれだけ頑張っていても、自社の風土には合わない、という理由で落ちてしまうことがあるのだ。

会社の人材の過不足の状況

本当に人が少なくて、とにかく頭数が欲しい場合は、志望動機や企業研究の度合いに関わらず、即戦力になりそうな経験があれば採用することもある。
逆に、離職者が少なく、人材も十分に足りている会社のような場合は、即戦力になる経験はあまり求めておらず、会社の5年後、10年後に変化を与えてくれそうな志望動機であったり、業界の先見性を感じさせる業界研究などを重視される場合もある。

そのため、志望動機や企業研究の頑張り具合とは関係ない部分で受かったり落ちたりしてしまうのだ。

表には出していない選考基準がある

あまり褒められたものではないものの、学歴フィルターだったり、男女比のバランスを考慮して能力にかかわらず落とされてしまうことは現実にある。

あとは、会社が完全に社外秘で進めているプロジェクトに合う人材を探している場合は、表向きに書けないこともある。
たとえば、特定の技術を持つ人材を募集していることを公にした場合、競合他社に戦略上の情報を与えてしまう危険があったり、株価に影響してしまう危険がある場合など。

役員と人事、現場社員の認識齟齬

就活では、内定に至るまでに下記のような3回の面接を経ることが多い。

・一次面接(現場社員・若手人事)
・二次面接(人事部長)
・最終面接(社長、役員など)

現場社員とは、人事などの採用の仕事が本業ではなく、エンジニア、営業、事務員など、その会社の現場の業務が本業の人である。
採用側で大事なのは現場社員と人事、そして会社の重役(代表取締役社長や役員など)の三者が、どんな人がほしいのか、しっかり意思疎通できていること。

でも、現実としてこの三者は普段の仕事の中で、あまりコミュニケーションを取っていない。
実際、現場社員も人事も、重役もみんな忙しい。

しかし、この三者は、新卒に求める役割、すなわち面接で見るポイントは本質的に異なっている。

現場社員の場合

入社後すぐの現場で役に立つかを見ていることが多い。
特に現場の社員が足りていないのであれば、即戦力になる人材をほしいと思うものだ。それは新卒であっても、資格の勉強をしていたり、独学で何かをしていて、自分の部下になった場合にすぐ自分の仕事を巻き取ってくれそうなイメージがあれば、評価は高くなりやすい。

若手人事の場合

若手人事であれば、自社に合う風土かを直感で判断している場合もあるが、会社の掲げる「求める人物像」にどの程度合致しているかを、点数化して粛々と機械的に評価することもある。
「求める人物像」とは、新卒採用にあたり会社が定めた「こんな人を採用したい」と思う要件リストで、最近は会社のサイトを見れば採用情報ページに書いてあることも多い。

社長・役員の場合

入社よりも数年先の展望を見ていることが多い。
入社後すぐ戦力になるかではなく、3年後、5年後、もしくはその先で、会社に新しいビジネスをもたらしてくれるか、これまで挑戦できていなかった領域に挑戦していくリーダーになりうるかを重視している場合が多い。

まとめると、現場社員は現場で役にたつか、人事は自社の人物像に合致しているか、重役は自社の将来にインパクトをもたらしてくれるか。
重要視するポイントが三者で異なるのは当たり前なので、採用側の理想としては三者は普段からこの点について話し合い、認識のすり合わせしておくことである。

しかし現実にはこのすり合わせができていないことが多いために、先の面接では評価されていたのに、次の面接ではあっさり落ちる・・・ということが発生しやすくなるのだ。

一次面接、二次面接、最終面接でずっと一貫したな内容を話しているはずなのに、なぜか最後で手のひら返しするように面接官の手応えがなく感じるのも、この部分によることが多い。

結局、運ゲーを避けるためにどうすればいいのか

結局何が言いたいのかというと、会社が何を重視しているか、面接官ごとの評価ポイントが何であるのか、これらが分からないまま体当たり的に面接を受けているから運ゲーだと感じてしまうのだ。
会社の内情やその会社の偉い人の考え方など、知らなければ知らないほど、知らないうちに適切でないことを言ってしまったりする可能性がある。

不確定要素を限りなくゼロにする

極端な話、その会社の内情を100%知った上で、その会社が必要な人材になれば、内定はほぼ確実に取ることができる。

・会社ではどのような事業を計画していて、今後どのような人材が必要になるのか。
・表に出すことのできない選考基準はあるか。
・現場の社員はどんなことを考えているのか。
・現場の社員に影響力のある人物は誰か。採用や事業の実質の決定権は誰にあるか。
・人事部長・役員・社長が気にいるのはどのような人物か。また、各々の人生哲学はどのようなものか。
・現場社員、人事部、役員はコミュニケーションがどの程度取れているか。

などなど。仮にこれら全てを情報として持っていればどうだろうか?
会社が必要とする能力を持っていることだけを適切にアピールし、人間性も会社の風土で問題ないことを伝えることができるだろう。しかも、他の就活生よりも強いレベルで。
そこまでできていれば、採用側の視点で考えた時に、もはや落とす理由がない。

ただし、例えば1万人を超えるような大企業の内情を全部知るのは現実にかなり不可能であると言える。
だが、内情を知るための努力は、本当にその気になればある程度はできる。

たとえば、学生起業などをしている人であれば、会社の重役が集まるパーティーや交流会に顔を出し、そこで会社の偉い人と直接話をすることができるかもしれない。
会社の事実上の決定権がある人物を紹介してもらうために、インターンに参加したり、色々なコミュニティに参加することによって、学生時代の早い段階から企業のいろいろな人と顔見知りになっておくこともできるだろう。

不確定要素を全てなくすことが、就活を運ゲーにさせない方法である。

運ゲーという言葉で片付けずに考えることが大切

とはいえ、不確定要素を100%排除する就活といのは、一社に相当な時間を割く必要があるため、やはり難しいように思う。
そこまで一社の情報を集めることに集中し続けると言うのもリスクだと思うし、そもそも大学3年生・4年生になって就活が始まってからそれをするのも難しい。

もちろん、できる範囲で不確定要素を減らしていくことは就活をうまく進めることは必要だと思う。
最も大事なのは、「運ゲー」という言葉で簡単に片付けずに、なぜ落ちてしまったのか、なぜ受かったのか、をきちんと考えること。

自分も就活の時は、そんな風に「運」という言葉で片付けずに、落ちた時も受かった時も、分かる範囲で考えるようにしていた。

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