IT業界でエンジニアとして働き始めて5年になるのだが、思うところがありこの記事を書いている。
プロジェクトが炎上したとき、あなたならどうするか。どうしようもないくらい追い詰められていて、もう無理」。そう思うなら、退職してでも逃げろ。今日はそんな話をする。
目次
精神的な限界を感じ、退職を決めた
例に漏れず、私もプロジェクトの炎上で心がやられて退職した経緯がある。心療内科などで鬱の診断職をもらったりはしていなかったが、「あ、これはまずいな」と思った瞬間があった。
プロジェクトが炎上した
プロジェクトが炎上した。というか、炎上は確定路線だった。数千万円規模の案件が始まると言うのに、人が全くアサインされない状況だったのだ。当時、私はプロジェクトマネージャー(以下、PM)だった。しかし、それは、実質そうだっただけで、私にはPMという肩書きは与えられていなかったのだ。
正式なPMは私ではない
正式なPMは、別の人だった。そのPMは肩書上は責任者だが、実際は全く管理も作業もしない、いわば名ばかり責任者であった。実質、私がマネージメント業務を全て担っていたのだ。
つまり、私は、名ばかり責任者とは真逆の、「実態のみ責任者」だったのである。
しかし、私は正式なPMではないため、人のアサイン権限はない。与えられたリソースの中で仕事をするしかなく、そこで異議を突き立てることはできても、決定権はない。騒ぐしかできないのだ。
見積も私が作成した。「少なくとも10人は必要である」見積もっているし、上層部には根拠も説明した。その人数をアサインしてもちゃんと黒字になるように見積を作成した。けれど、私は正式な責任者ではないので、私のアサイン要請は簡単に却下された。
そしてプロジェクトは動き始めた
「今いる人数で回せるようにならなきゃ一人前とは言えないよ」という、次期の昇給査定を人質に取ったような言葉で突き返され、結局、私が見積もった半分の人数でプロジェクトは動き始めた。
決まったものは仕方がない。毎日9時から24時まで働いた。意識が飛びそうになってもカフェインでごまかして働いた。それでも、仕事は全然終わらなかった。電車の往復も考えたら、一日の睡眠時間は4時間半ぐらいだっただろうか。
限界の中で湧き上がる「怒り」
そんな生活が1ヶ月も続いた頃、ふと、やり場のない怒りが抑えられなってきた。
これだけプロジェクトが燃えて死にそうなくらい苦しいのに、なんで、社長は毎日定時で帰ってんだ。なんで、仕事中にスマホゲームで遊んでいるぐらい暇な社員がいるんだ。なんで、部長は、上司は、同僚は。
自分だけが苦しんでいる状況への怒りが抑えられなくなり、同時に、「あ、これはもう休まなきゃ本当におかしくなるな」と感じた。冷静になった私は、退職を決めた。
退職を宣言してから大量のアサインが始まった
退職を決めた瞬間から、会社の掌返しが始まり、完全に呆れてしまった。これまでは、どれだけ人を足してくれないと困るって上層部に訴えても「今は予算の都合で人員を追加できない」と言われていた。なのに、私の退職が決まった瞬間、急に社内外の人間を6人もアサインしたのだ。私の仕事量が異常だったので、1人や2人では引継ぎが全うできないと判断したのだろう。
はあ?最初からこれだけ人員アサインできるなら、最初からアサインしろよ。
そんな怒りを抱えつつも、退職日が決まった時は、心の底から元気が湧いてきた。安月給だったけど、頑張って貯金はしてきたから、2ヶ月はニートできる。たくさん遊んで元気を取り戻して行こう。
そう思って、ニート期間が始まった。
退職後のニート期間は、寝て終わる2ヶ月間だった
いざ休みに入ったら、遊ぶどころか、全くベッドから動けなくなった。おそらく鬱だったのだ。病院で診療を受けたわけではないから確定事項ではないけれど、おそらくそうだろう。というか、そもそも病院に行く元気すら出なかった。
毎日12時間ぐらい寝て、起きたらスマホだらだら見て、また寝て。ご飯を買いに行くのすら面倒で、空腹の限界になるまで我慢して寝ていた。結局、何もできずに2ヶ月は終わってしまった。
そんなことあるか?と思うだろう。60日間もあったのに、何もできなかった。ブログ書いたり、ちょっと買い物に行ったりはしたよ。でもそれだけ。本当は、もっと勉強したり、海外や国内を旅行したり、やりたいことはたくさんあったのに。
そのとき感じたことは2つ。人間は、こんな簡単にも潰れてしまうのかということ。そして、潰れてしまったら、何もできないまま長い月日が流れてしまうということ。
体が悲鳴を上げているなら、今すぐ自分を逃してあげなきゃいけない。自分を助けてあげられるのは、自分だけなんだよ。
社員が苦しんでいるのに助けないのは、会社の怠慢
「炎上したらすぐ会社を辞める」
これは間違っていると思う。
ある程度の炎上は、エンジニアとして働く限り、一生避けて通ることは難しいからだ。これは、顧客からの無理な要望、営業の判断ミス、プロジェクトマネージャーの進行ミスなど、人間という不完全な生き物が集まって物事を進める以上、必ず発生しうるものだからだ。
辞めるべき炎上かを判断する軸
ただ、もし炎上の渦中にいて、どうしようもないぐらい苦しいのであれば、次の質問に、正直に答えてみてほしい。
- 会社は、炎上しないように、余裕を持ったスケジュール管理、作業配分をしてくれていたか?
- プロジェクトが燃えそうになったとき、人を増やすなど、負荷を下げるために動いてくれたか?
- あなたが寝不足で頭が回らず、もがき苦しんだときに、偉い人は手を差し伸べてくれたか?
もし、どれか1つでもYESと言えないなら、相当まずい状況だと思う。残念ながら、あなたは潰される。会社が炎上を見て見ぬ振りしていること自体が異常なのだ。潰れるまで使い倒して、潰れたらバイバイだろう。
そんな扱いを受けてまで、なぜ会社にしがみつくのか。一度よく考えたほうがいい。
会社を辞めても普通に生きていける
視野を広く持って欲しい。会社の中にいると忘れてしまいがちだが、会社をやめても普通に生きていける。というか、今の時代は、色々な働き方をしている人がいる。実際、私の同期や大学の友人たちを見ていても、20代の間に、一度も転職しなかった人のほうが珍しいぐらいだ。IT業界ではその傾向がさらに強いのは、同じIT業界で働いている方ならよく分かるはずだと思う。
2、3ヶ月ニートしたって、普通に社会復帰できる。私はまだ30代にもなっていないけれど、もう2回転職して3社目なのだ。それでも普通に仕事はあるし、今も働いている。
次の会社を決めないまま退職したって、なんとかなる。
そりゃ、次が決まってからのほうがいいよ
もちろん、次の会社が決まっているほうが絶対にいい。だけど、我慢して潰れてしまうぐらいなら、次の仕事なんかどうでもいいから一旦きちんと休むべき。一度潰れてしまったら、回復までにものすごい時間がかかる。下手したら一生引きずることになるかもしれない。
辞めた友人に話を聞く
私の周りのエンジニアも、みんな本当に異常な環境であれば、逃げたり休んだりしている。そういう、辞めた経験のある人の話を聞いてみるのはかなりおすすめ。見えなくなっていたり、気づいていなかった選択肢があることに気づかされる、いいきっかけになるはずだ。
もし周りにそういった知り合いがいないなら、昔の友人でもいいし、誰でもいいから社外の人にあって欲しい。
辞めた友人がいないなら、エージェントに話を聞く
もし、周りにそういうった人がどうしてもいないのであれば、転職エージェントやフリーランスエージェントに話を聞きに行くのもいい。
転職エージェントやフリーランスエージェントの面談に行ってみるのもいい。実際にエージェントを使って仕事を探し始めるかは、面談をしてから決めることができるので、まずは話を聞きに行くだけでも問題ない。
私もかつて転職エージェントに話を聞きに行ったが、そのときには10社以上の求人をさくさくと紹介してくれて、「え、こんなに仕事ってあるのか」って思うことができ、「今の会社に固執する必要性って何だろうか?」と考えるきっかけになった。
こういったサービスは完全に無料なので、とりあえず話だけでも聞いて、みるのがいい。
私が利用していた転職エージェント
私は下記の転職エージェントとフリーランスエージェントを1社ずつ、過去に利用した。
結局、フリーランスにはならずに会社員として転職したのだが、世の中にはこんなにフリーランスで働いている人がこんなにいるのか、と知ることができたので、フリーランスエージェントの面談にも行ってみてよかったと思っている。
レバテックフリーランス:国内最大級のフリーランスエージェント。取り扱い案件はSESがメインだが、案件数はマジで多い。私も面談に行ってみて、こんなに仕事ってあるんだって思えた。
ズル休みや休職でもいい
退職という決心がどうしてもつかないのであれば、まずは体調不良でも何でもいいから理由をつけて会社を休むべき。とにかく、自分が完全に壊れる前に、1日だけでも休みを取って、正常な判断力を取り戻す必要がある。
まずは限界まで寝る
休みを取ったら、まずは休息。過度な睡眠不足の状態では、圧倒的なネガティブ思考に囚われてしまうし、判断力も鈍った状態になる
とにかく、眠たいなら寝る。どうしても寝れないなら、ゲームでも映画でも何でもいいので、自分が好きなことをして、体の緊張感を解こう。
1日でダメなら、2日、3日でも休む
完全に心が壊れてしまった場合、下手したら一生引きずることになる。
それに比べれば、数日のサボりや、それによって発生する不利益(マイナス査定、同僚や上司からのヘイトなど)なんか、どうでもよくなるぐらい些細なことだ。
むしろ、数日休んだ程度でそのような不利益に怯えなければいけない状況なのだとしたら、その状況自体が異常だということをはっきりと伝えておきたい。
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